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アンチウイルスソフトを実力本位で選ぶには
では、パソコンにインストールするアンチウイルスソフトは何がいいのでしょうか? どのようにして選べばいいのでしょうか?
売れているモノはいいものか?
家電量販店にいくと、「売れ筋 No1」とかいううたい文句がおどり、製品パッケージが山積みされていたりします。
べつに、アンチウイルスソフトでなくてもコレです。単純にこうすると、"みんなが買うのだからいいものであるに違いない"という推測の元、売れるからです。
「売れ筋 No1」と横断幕を張って山積みしたら、ほんとうに売れて、そのお店の同系列の製品のなかでは「売れ筋 No1」になったのかもしれません。
そうであれば、"みんなが買うのだからいいものであるに違いない"という推測は当てになりません。多くの人は、その製品を確かめずに買っているわけですから。
同様に「シェア No1」も、選択の指標にはなりません。
比較サイト
ネット検索すれば、「比較サイト」なるホームページが出てきます。一応、主だったアンチウイルスソフトを集め、「検出率」「軽さ」「電話サポート」などの評価ポイントを設けてそれぞれ点数化し、比較評価しています。
これなら、確かに分かりやすくて、客観的評価に見えます。
しかし比較サイト自体に客観性がなく、じつは特定のアンチウイルスソフトを販売促進するための誘導サイトであったりします。
また、一見「客観的に見える」評価ポイントも、よく考えると奇妙だったりします。
例えば「電話サポート」。
ソフトに起因すると思われるトラブルに対して質問する場合、通常なら、メーカーのホームページのフォームメールから質問するのがふつうです。しかしそれだけでなく、電話でも対応する、だから、入力が苦手な人も安心、というイメージ戦略です。しかしアンチウイルスソフトの場合、電話で対応できることは限られています。むしろ、インターネットで検索して、図解付きの解説ページを調べたほうがよく理解でき、早く解決できたりします。そうした手間を惜しんで、繋がりにくい電話サポートに頼るのは限られた人だけです。電話サポートは、人手と時間を使う、コストのかかるサービスです。そのコストは製品価格に上乗せされます。つまり電話サポートは、それを利用しない人も含めて、全ユーザーにコストを転嫁するいびつなサービスといえます。そんな「電話サポート」というサービス態勢を取るかどうかは、その会社の経営判断の問題で、ソフトウェアの実力とは関係ありません。
第三者機関の評価
日本の比較サイトの多くは前述した状況ですが、海外に目を向けると、アンチウイルスソフトをテスト、評価する第三者機関があり、サイト上で定期的に評価を公表し、それが評価指標になっていたりします。AV-Comparatives や AV-TEST などのその代表例ですが、ここでは AV-TEST を取り上げます。
The best antivirus software for Windows Home User
表は2018年12月に Windows10 向けの各種アンチウイルスソフトを評価したものです。元の表はもっと長いのですが、ここでは日本でよく見かけるものをピックアップしてみました。
評価ポイントは、Protection(マルウェア全般からの保護能力)、Performance(処理速度)、Usability(誤検知などの利便性)の3つです。
いかがでしょうか? すっきり分かりやすい評価でしたね。
ただし、この評価法には異論が出されています。
ブラックリストとホワイトリスト
(AV-Comparatives や AV-TEST の評価テストは)様々な脅威の実態に則しておらず、利用者に錯誤をもたらすため、業界自主規制に賛同しております。PHVや電気自動車へ燃費測定を競っているようなもので、AV製品として必要とされる脅威対策の実態測定に則しておりません。また、国家諜報ツールをスパイウェア指定としない試験が一般的でありますが、PC Maticではスパイウェアとして指定しており、これを「誤検知」として判定されエンジン評価が下げられている場合もあります。私たちは政治的な配慮をせず、顧客重視の姿勢を保ちます。
異論を唱えているのは PC Matic。PC Matic は上記 AV-TEST では、一応、基準は満たしているものの、Usability(誤検知などの利便性)3.5という低い評価がネックになって、Top Product(最優秀製品)の称号がもらえていません。なぜ、Usability が低いのかというと、他のアンチウイルスソフトが脅威の検出にブラックリストを用いているのと違って、PC-Matic はホワイトリストを使っているからです。
ブラックリストとは、予めウイルスやトロイの木馬などのマルウェアと認定したプログラムをリスト化して定義ファイルを作り、検査対象のソフトがリストになければ、シロと判定する仕組みです。
これに対して、ホワイトリストとは、予め問題のないソフトウエアをホワイトリストとして登録しておき、検査対象がリストになければ、クロと判定します。PC Maric の場合、ホワイトリストにないソフトウェアをただちにクロ認定するのではなく、オンラインで検査して判定することになっています。こうやって PC Matic がクロと判定したなかに「国家諜報ツール」があり、これを AV-TEST は「誤検知」と評価しているのに異議を申し立てています。
PC Maric に限らず、AV-TEST ではアドウェアにきびしいアンチウイルスソフトに対して、Usability の点数が辛い傾向があるようです。これは AV-TEST が Usability の評価にブラックリストを利用していることを示唆しています。
現状ではウイルスの初犯率は96%で、再犯率はたった4%しかありません。しかし、AV-Comparatives, AV-TESTは、この再犯プログラムの4%を利用してウイルス検知率を測定しています。再犯であるため、逮捕は容易です。このため多くのセキュリティソフトが100%の防御率を記録していますが、感染実態とは異なります。ブラックリスト方式は、利用者が感染することでその検体を得て、事後対処する仕組みだからです。よってこれら、2社が発表する防御率の100%は実態に即していません。
・・・中略・・・
現在は、ウイルスやスパイウェアなどを資金力のある悪質な組織が、人工知能技術を用いて1日100万個の新種を作成。再出現率は低く9割以上が新種で使い捨てです。
AI で新種のウイルスがガンガン作成され、その9割が使い捨てという状況では、ブラックリスト方式では実態が掴めないという PC Matic の指摘には説得力があります。
だから、AV-TEST はダメで、ほんとうにいいソフトは、PC Matic だということではありません。
PC Matic に興味を持ったのなら、PC Matic のユーザーの声を聴きましょう。
いかがでしょうか?
筆者は、今後ホワイトリスト方式で防御すべきと思いつつも、頻繁に新しいソフトを試すことが多いので、現状では、PC Matic の導入には踏み切れないでいます。でも、ホワイトリスト方式の展開には注視していきたいし、AV-TEST も参考にしたいと思っています。
大切なことは、他人が付けた点数に飛びつくのではなく、他人の評価を参考にしてさらに自分で調べて知識を蓄え、決断することです。
まとめ
アンチウイルスソフトを実力本位で選ぶなら、「売上 No1」「シェア No1」といった言葉に踊らされたり、またインチキな比較サイトに引っかかったりせず、第三者機関の評価データを読み込みましょう。そして評価法の限界も知ったうえで、さらに調べて知識を強化しつつ、自分に合ったソフトを見つけ出すのがよいと思います。